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2012年5月24日 (木)

中古住宅の建物価格評価法 その2

中古住宅の最有効使用を考える場合、建物のリフォームをどのようなリフォームと考えるか、について明確にしておく必要がある。先のエントリーでも書いたように、買主が考えるリフォームなのか、第3者の建築士が考える標準的なリフォームなのか、ということである。つまり、買主リフォームか、標準リフォームかである。

たとえば、建物はまだ使えそうであるが相当古くなっていて、新築並みにするには新築コストが必要な中古住宅では建物価格ゼロが相当である。しかし、建物はリフォームすれば使えるので、たとえば買主はリフォームして住もうと考えたとする。買主のリフォームである。そこで古い建物が建っている土地で、安ければ買主が現れると考えられるので、土地価格を更地価格水準より少し低くする。土地価格をリフォーム費用程度低く設定すると買主も現れ、価格も説明しやすいからである。しかし、売主はリフォームするわけではない。

しかし、買主はたとえば50万円だけリフォームすることもあり得るし、300万円のリフォームをすることもあり得る。安くしてもらえば高いリフォームができるし、あまり安くしてもらえないと少しのリフォームしかできない。

買主リフォームを前提に考えると、このように買主売主の考えを突き合わせる調整の場が必要になり、結果としてリフォームの内容が不安定になり、合理性を欠く可能性が高くなる。

一方、第3者の建築士が考える標準的なリフォームは、原則として売主買主に影響されないリフォームで、建物の現状と法規制や住宅性能なども考慮した内容のリフォームとする。この第3者の建築士は先のエントリーで書いたバリューサーベイプランナーとしておく。

この場合リフォームは現状図面を前提に設計されたもので、リフォーム図面もあり、コストも第3者の積算で求められ、合理的な内容となっているため、不動産流通市場にも信頼できる情報として通用するものである。

建物価格ゼロの上のケースで、この標準リフォームコストがたとえば200万円とすると、建物価格がゼロなので、土地価格を更地価格水準より200万円安くすることが価格の説明もしやすい。もちろん、この場合でも、買主は50万円だけリフォームすることも300万円リフォームすることもあるが、自己責任に任せるしかない。しかし、不動産流通市場は透明性の高い市場が形成されると考えられる。買主売主の考えを突き合わせる必要もなくなる。

このように、中古住宅の最有効使用は標準リフォームを前提にすればリフォームコストも明確になり、これを前提に透明性の高い不動産価格が形成されると考えるのである。

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2012年4月25日 (水)

中古住宅の建物価格評価法について

中古住宅の建物価格評価(建物値付け)法を考える場合注意すべきは、住宅性能評価書が添付されている場合と添付されていない場合があるという点と思われる。もちろん、住宅性能を表示した資料がない場合、新たに既存住宅性能評価書を作成すれば、住宅性能評価書が添付された建物となる。

まず、住宅性能評価書がある場合は、先のエントリー で書いたように10分野の性能等級にしたがって価格格差をつけることで中古住宅の現在価格を求めることができると思われる。つまり、10分野の性能等級が仮にすべて最上位の中古住宅に対して、10分野の性能等級がすべて最下位の住宅は、価格格差が100に対して60と決まっているならば、すべて最上位の住宅が5000万円で売買された場合、すべて最下位の住宅は5000万円×0.6=3000万円となる。住宅性能評価書があれば、このような方法で値付けが可能になるのである。もちろん、建物の現状調査(サーベイあるいはインスペクション)が必要であるが。

これは比較法の考え方であり、類似の中古建物の取引価格から、性能格差を価格格差へ変換することで、対象の中古建物の価格を求めることが可能となる。問題は性能格差を価格格差に変換する方法であるが、これも先のエントリー に書いたように性能等級格差を建築積算士などがコスト格差に換算する方法が考えられる。

次に住宅性能評価書がない場合である。毎日見ている風景の中に古い住宅や新しい住宅が見えているが、それらの建物の性能が全く分からない場合、その価格をどうやって合理的に求めることができるかである。しかし、新築同様にリフォームするコストが求められれば、合理的に中古建物の価格が求められると考える。

新築同様にリフォームするコストは、買主が思い通りにリフォームするコストではない。その場合は買主がリフォーム業者から見積もりをとればよい。そうではなくて、理論的に新築同様にリフォームするコストを求めるということである。この場合も上と同様、建築積算士の力が必要になるのであるが。

30年、40年経った中古住宅が、実際はまだ使えるが建物価格ゼロの土地値で取引されることが多い。相当古いので新築同様にするには何もかも新しくする必要があり、リフォームコストが仮に新築コストと同じ程度かかるとする。それならば、取り壊して新築すればよいのであるから現状の建物価値はゼロとなる。まだ使える住宅を土地値で買って、買主が建物を少しリフォームして住むことができるのであるから、安く住宅を手に入れることができるのである。

また、10年程度経った中古住宅の場合、新築同様にリフォームした建物は新築建物(たとえば2000万円)の7掛け(たとえば1400万円)なら売れるという市場価格を考慮する必要がある。この市場価格1400万円より、リフォームコスト(たとえば500万円)を引けば、900万円と現状建物価格が求められる。この方法は建物の性能などが何もわからない場合、建築積算士などが求めたリフォームコストを手がかりに中古建物価格を求める方法といえる。

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2012年3月22日 (木)

リフォーム市場には新しい専門職が必要 その2

国土交通省の近年の動きは私にとって興味深いものがある。先のエントリーで建築と不動産流通に係ることができる建築士を、特にサーベイ・プランナーと呼ぶ新しい専門職とすることが必要と指摘した。すでに国交省は、2011年1月に「建築基準法等の建築法体系全体の目指すべき基本的方向について検討」する「建築法体系勉強会」を開始し、2012年3月時点で7回の勉強会を行っている。

リフォーム工事は一般に小規模な工事が多いと思われるが、第5回勉強会配布資料の「資料5」の9ページによると、戸建住宅のリフォーム契約金額が500万円以下のものが全体の50%強となっているようである。また、100㎡以下の木造住宅のリフォームの設計・工事監理は建築士でなくともできるのであり、500万円以下の工事は大臣や都道府県の許可のない建設業者でもできるとのことである。要は殆どのリフォームは誰でもできるということである。

建築基準法は新築を中心にした建築規制の体系であるが、ここから小規模なリフォーム計画や工事は漏れてしまっている。したがって、リフォームの計画は誰でも自由にでき、工事も誰でも自由にできるのである。もちろん、階数や面積、リフォームの内容によっては、確認申請が必要となるケースもあり、リフォームの図面や業者がチェックされ、設計・工事監理は法律どおりに行われるはずである。しかし、50%強はこの網からもれてしまうのである。

宅建業者に中古住宅の購入を依頼しても、案内された住宅がどういう状態の建物かを調べるすべもなく、リフォームすれば使えると判っていても自己責任でやるしかない。場合によっては、建物価値ゼロを頼りに、法律によるセーフティーネットがないまま買ってしまうのである。建物価値ゼロの古い住宅を買って、少しリフォームして住めれば、高い新築住宅を買うよりはるかに助かるからである。しかし、後になって思いもかけない劣化や欠陥が見つかるというケースも少なくない。こうした現状を踏まえると中古住宅のセーフティネットは是非必要と考える。

建築法体系勉強会がどういう取りまとめになるのか注意していきたいが、すでに住宅ストックに係る建築規制のあり方について意見も出ている。建物価値がゼロと評価されリフォームすれば使える中古住宅や、建物価値ゼロでなくとも修繕・リフォームが必要な中古住宅などを、より高い社会的価値のある資産に変えて誰でも無理なく購入できるようにすることが望ましいのは明らかである。中古住宅の社会的経済的効用を高める方策が期待される。

そういう点から中古住宅を調査・計画できるサーベイ・プランナーは、さらに加えて、建物価値をみたてることもできれば、建物所有者や購入者の必要な情報をまとめて提供できる職業となり、今後のストック社会では社会的価値の高い専門職といえるのではないか。その場合、新しい専門職はバリューサーベイ・プランナーと呼ぶのが良いかもしれないが。

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2012年2月24日 (金)

建築と不動産流通の連携のきざし

国土交通省は不動産流通市場を活性化を具体的に検討する場として、多方面の有識者からなる「不動産流通市場活性化フォーラム」を設置し、2012年3月1日には第4回フォーラムを開催するとのことである。当フォーラムの委員には建築工事やリフォーム工事関係団体、建築設計関係団体などが含まれていることに注目したい。

先のエントリー で、建築士の知識が不動産取引に生かされていないが、不動産金融商品の拡大に合わせて建築士の知識が不動産取引に活用されることが必要と書き込んだ。しかし、今回の「不動産流通市場活性化フォーラム」では、不動産流通関係者と設計・工事関係者が集まっていることから、建築側が流通市場の現状をストレートに理解するものと思われる。

現在の建築関係や不動産流通関係の制度では、あたかも建築士の知識と不動産取引とは建物を作る側と建物を売る側の違いであり、根本的に違うのは当り前である。まったく関係なくてもなんら問題無いと考えられているようなのである。しかし、中古住宅が流通する市場の重要性が強まっている昨今では、建築士の知識は建物の現状調査に加えて、リフォームが必要か否か、どうリフォームするのがよいか、などの建物利用に係る論点に必要不可欠と考える。

実際、第2回フォーラムでは中古住宅の調査(インスペクション)について仲介関係団体から必要性が述べられたが、建物の現状認識が売買当事者の不安の原因となっている部分であり、当然信頼できる情報やリフォームプラン・コストが提供される仕組みが必要である。しかし、中古住宅の調査やリフォームプランの作成は新築住宅の設計・工事に比べてむずかしいのではないだろうか。買主の要望がすべてかもしれないが、法的な問題や構造設備の問題は買主の責任に任せにくいと思われる。

また、リフォームコストも一般的に新築コストより低くなければ意味がない。たとえば戸建分譲住宅を買うより、建物価格ゼロの中古住宅を買ってリフォームすることで新築並みの住宅を手に入れることが可能であるが、そのためのリフォームコストは新築コストなどより低くないと意味がない。そういう点でニーズに合うリフォームプランを計画することは、買主より設計・工事側の責任が大きいのではないか。

第2回フォーラム議事録の37ページには建築士側の発言があったが、①不動産流通と建築・リフォームの業界が離れていたこと、②売買を前提にしたインスペクションに加えリフォームを前提にしたインスペクションが必要なこと、③リフォーム瑕疵保険の運用のためにインスペクションを使うことも必要なこと、④インスペクションを制度化し、建築士も参加していく必要があるとの意見であった。

国土交通省にはこのフォーラムの提言を踏まえ、建築士が不動産流通にかかわる仕組みを作っていただき、建築士の知識が不動産流通市場で活かせるようになることを期待したい。

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2012年1月25日 (水)

地価公示は年4回必要

2012年1月13日の日経に「金融危機の再発防止」のため各国が「バブル監視へ政策連携」し、住宅価格指数を整備するという記事があった。IMFが2009年、20ヵ国・地域(G20)に情報ギャップを埋めるために住宅価格指数を整備していくことを提案して採択されたとのこと。この指数は各国の不動産に関する消費者物価指数のようなものと思われるが、「正確な住宅価格指数の作成は消費者物価指数などに比べて難しい」とのことである。

かっての日本の不動産バブル、最近のアメリカの住宅バブル、などから、資産価格情報をチェックする統計システムが必要との認識に至ったということで、日本では国土交通省に事務局を設置し、日銀、金融庁、総務省、内閣府、法務省などが参加して住宅価格指数の整備が進んでいるとのことである。

日本ではかって右肩上がりの土地神話に乗って不動産バブルが発生したが、1990年頃バブル崩壊が起こった。その後約20年の歳月が過ぎたが、現在も資産デフレが続いている。しかし、地価公示制度による土地価格の観察によると資産デフレも底バイしているようであり、先になにか光がみえれば、資産デフレも終息しそうな感じもある。そういう点で地価公示制度の役割は大きい。

ところで、国土交通省の不動産投資インデックスガイドラインで総合収益率(トータルリターン)と呼んでいるものは、土地投資、建設投資など多くの投資分野を統合した不動産投資の総合指数(不動産投資指数)を目指したものである。

この不動産投資という枠組みで考えると、住宅投資は土地投資、建設投資を含めた不動産投資であり、不動産投資の中でもウエイトが高く、住宅価格指数は不動産投資指数の中の重要な指数と考えるべきだろう。住宅価格指数は、消費者物価指数の中に500個以上の指数があるように、総合指数である不動産投資指数のなかに含まれる1つの重要な指数なのである。もちろん、土地価格指数もその中に含まれるべき1つの重要な指数と言える。

しかし、建築費指数も、消費者物価指数も毎月公表できるようであるが、住宅価格指数はよくわからないが四半期単位の公表なのかもしれない。しかし、土地価格指数は日本では年1回地価を公示する制度となっていることから毎月土地価格指数を公示することは不可能なのである。しかし、少なくとも3ヶ月に1回、四半期単位の地価公示があれば、土地価格指数は不動産投資指数の中で重要な役割を果たせる。そういう点から、毎月の地価公示は不可能であるが、少なくとも3ヶ月に1回、年4回の地価公示は必要と考える。

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2011年12月20日 (火)

売上高ベースの収益還元法

大都市郊外の幹線道路を走ってみれば、飲食店舗やカーディーラー、ガソリンスタンドなどの沿道型商業施設、時には車が1000台とか入る大型店舗も見かける。こうした店舗はもっぱら売り上げを確保することで成立するので、売上高を基礎にする不動産投資である。

また、都心部でふつうにみられるオフィスビルや賃貸マンションは賃料収入を基礎とする不動産投資である。この不動産投資は賃料収入を収益の源泉とするため、予想しやすいと思われる。そのため、「賃料ベース」の収益還元法は比較的容易に適用できる。賃料収入を前提に期待収益率(ディスカウントレート)を確保できる収益価格で投資すればよいのであるから、わかりやすいのである。

ところが、売上高ベースのビジネスは人件費も大きく、仕入れ費用も大きい投資であり、誰でも経営できるというわけではない。経験豊富な経営者でないと売り上げの確保も難しいのであろう。しかし、変動の大きい売上高を基礎にする不動産投資は、郊外の幹線道路沿いや都心部の商業地には頻繁にみられる。こうした商業施設の投資家は基本的には売上高ベースの収益予想にもとづいた収益還元法(DCF法)を適用していると考えられる。

しかし、売上高を予想することは難しく、会計上の豊富なデータに基づいた予想や経験豊富な経営者の予想でもなければ、容易に不動産投資の適否が判断できないと想像がつく。しかし、「売上高ベース」の収益還元法(DCF法)も一般化は不可能ではない。

幹線道路沿いにかなり頻繁に新たな店舗立地や店舗交代が行われるということはこうした不動産投資が行われているのであり、実際に「売上高ベース」の収益還元法(DCF法)が適用されている、ということなのである。もちろん、そうした店舗立地の専門家は適用していても、「賃料ベース」の収益還元法より収益予想がかなりむずかしいと思われ、「売上高ベース」の収益還元法(DCF法)は誰でも簡単には適用できないのである。

このような収益予想にむずかしさがあることが「売上高ベース」の収益還元法(DCF法)が一般化できない原因と思われるが、一方、「賃料ベース」の収益還元法は直接還元法にまで簡略化されたところが特徴と思う。

もともと商業物件の取引において取引利回りという数値があるが、取引を収入面で手軽にチェックする数値といえる。この手軽さから取引利回りは一般によく使われているが、この手軽さを「賃料ベース」の収益還元法で実現しようとしたものが直接還元法ではないかと考えている。

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2011年11月23日 (水)

FHFAの提訴に関連して

2011年11月7日の日経朝刊に、2011年9月上旬、米連邦住宅金融庁(FHFA)が野村ホールディング現地法人を含む金融機関17社に対し、米住宅金融公社2社(ファニーメイ、フレディマック)が17の金融機関から約2000億ドルで購入したRMBS(Residential Mortgage-Backed Securities)の登録届出書や目論見書に虚偽記載(Falsity)があったとし、損害賠償請求訴訟を行った、との記事があった。

2007年8月16日のエントリーで「アメリカの不動産金融システムにはなんら問題ないと思われますが、むしろ住宅ローン返済チェックシステムに問題があるのではないか。」と書いたので、この訴訟は大変興味深い。特に訴訟の内容にローン返済チェックシステムに関わる事項があるか、という点に注意して、当該記事や野村ホールディングス現地法人などへのFHFAの訴状を見てみた。

この訴状では、虚偽記載(Falsity)は①Owner-Occupancy Data、②Loan-to-Value Data、③ガイドラインを無視したInvestgation(調査)やCredit Rating(格付)などに見られる、としている。この虚偽の内容であるが、①のOwner-Occupancyをチェックしたところ、実際には住んでおらず、投資目的の購入もあり、記載に虚偽があったとのこと、②LTVレシオが100%超のものがあり、規定内の80%以下のものばかりではなかったとのこと、③ガイドラインを無視し、不動産価格上昇を信用し過ぎた格付けなどがあったとのこと、などのようである。

特にローン返済チェックシステムに関してであるが、③のガイドラインを無視した虚偽記載という辺りに該当するのではないかと思われる。住宅価格上昇がある限りは、価格上昇をローン返済分などに充当すれば、ローン返済は少なくて済み、ローン返済能力をチェックする必要は無いのかもしれない。しかし、住宅価格上昇という前提が無くなれば、債務不履行が当然のケースもあり得るので、ローン返済能力の調査は必要不可欠であるので、この調査不備があったということと思われる。関連すると思われるが、③のRMBSの格付けもローン返済能力をチェックせず、単に住宅価格上昇を信じた格付けであれば、3Aとなったのであろう。現在は3Cなどが多いようであるが、ローン返済が困難になり、債務不履行が普通に起こる場合、3Aはガイドライン無視とされても当然と言える。

また、LTVレシオであるが、その時点の住宅価格の影響が強い数値である。この住宅価格はどうやら業者の意見にもとづく場合とAutomated Valuation Model(“AVM”)による場合があるようであるが、詳しくは不明である。ともかく何らかの形で定められた住宅価格に対し、ローン設定が100%を超えたものがあったとのことである。アメリカではLTVレシオは80%が上限となっているようであり、100%超はガイドラインを無視したLTVレシオとなるとのことである。なお、日本では不動産の担保掛目は70%を上限としているはずである。

不動産のプライシングに関連して注意したいのが“AVM”である。コンピューターで自動的に計算するシステムのようであるが、詳しくはわからない。アメリカでは不動産価格をどのように定めているのかが興味深い。

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2011年10月19日 (水)

仙台、松島

最近6名の方々と宮城県の被災地を訪れたが、併せて仙台、松島も訪れた。仙台は初めてであったので、青葉(仙台)城址に行ってきたが、旧仙台城二の丸(現東北大学川内キャンパス)にはかって第二師団司令部があったとのことで、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を思い出してしまった。

改めて読み直してみたところ、「坂の上の雲」(四)の「遼陽」では、仙台第二師団は第一軍に所属し、”師団ぐるみで夜襲を敢行して、弓張嶺にのぼり、敵陣地をことごとくうばってしまったことは、世界戦史の奇蹟とされた”とある。また、”日本で最強の兵といえば東北人と九州人であることは、この当時の常識になっていた”などの記述もみられる。なお、遼陽会戦は明治37年8月の終わりごろのことである。

また、同じく「坂の上の雲」(六)の「黒溝台」で、明治38年1月の終わりごろの黒溝台会戦では、弘前の第八師団(兵は青森、秋田、山形、盛岡の出身者で、師団長は立見尚文)が師団ぐるみの夜襲によって黒溝台から敵を退却させたとのことである。仙台第二師団は”弘前師団を包囲している敵を追い、立見の黒溝台への行動を容易にした”などの記述がある。なお、”黒溝台会戦の戦闘経過の惨烈をつぶさに見ていくと、かれら東北の若者たちが全日本軍をその大崩壊から救ったその動態のひとつひとつを記述したいという衝動をおさえきれない”とあり、強い印象を受ける。

また、当地には旧制第二高等学校があり、第二師団と広瀬川を挟んだ位置に校舎が建っていたとのことで、この二高は東京の旧制一高、京都の旧制三高につぐものとある。それにしても、第二師団と言い、旧制二高といい、仙台城二の丸といい、仙台は「二」に縁があるようである。

さて、仙台から気仙沼、南三陸、石巻を回り、松島を通って帰ってきたが、太平洋沿岸地帯の様子に比べ、松島は日本三景の写真のままであった。地図をみると松島は湾の出口に大きな島がいくつもあり、津波を防いだようで、地元の方は松島は天然の要害と言っていた。何も知らないものとしては、てっきり松島の松も津波に持って行かれたとなんとなく思っていたが、松にも松島にも殆ど影響がなかったようである。

なお、松島の瑞巌寺は臨済宗妙心寺派の古刹で伊達正宗の菩提寺とのことであるが、創建は1000年以上前の828年とのことであり、最近世界遺産に登録された中尊寺といい、長い歴史を持つ東北のことを改めて再認識した訪問であった。

また、気象庁震度データベースで調べたところ、今回の地震の宮城県内の震度分布は、大体であるが低くて震度5強、最大で震度7であり、宮城県は広範囲にわたって大きな震度となっているようである。

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2011年9月23日 (金)

リフォーム市場には新しい専門職が必要

既存建物の取引の重要事項説明で一般的に宅建主任は建物に何か起こっていることに気づいても、建物のことが完全にはわからないため、建物の現状を十分説明できないと考えられ、買主売主間のトラブルを完全には防ぐことができないと思われる。むしろ、一級建築士が不動産取引に立ち会うとこうしたトラブルは防ぐとおもうが、設計者として育てられた建築士に新たに不動産取引に関わる動機が生まれにくい。

むしろ、建築士の育成の現場である大学などの教育機関に、宅建主任が行う重要事項説明書や不動産取引のルールなどを網羅した科目を設置できれば、建築士が不動産取引に関わることは比較的容易になると思われる。しかし、教育機関にすぐに不動産市場に関する教育を期待するのは難しい。

国交省は2011年7月1日組織改変を行い、土地・建設産業局をつくった。土地市場課、不動産市場整備課、建設市場整備課などがあり、不動産市場の活発化や建設産業の活性化を目指すものと思われるが、特に既存住宅のリフォーム市場や不動産金融市場の整備が進むものと期待したい。

住宅リフォームは現状の調査とリフォームの「みたて」が肝要であり、新築住宅を設計するより難しいと思われるので、建築士なら誰でもというわけにはいかない。それなりの研修を受けたリフォームを担当する調査建築士(サーベイ・プランナー)が既存建物を調査し、リフォームプランをつくるなどしてトラブルを未然に防ぐことが必要である。思いもかけない工事が必要になるようなことはあってはならないのであり、現場施工で行うリフォームは施主とトラブルが起こりやすいと考える。十分な建物チェックと明確な理由があるリフォームプラン、リフォーム積算が必要なのである。

また、売主買主などの取引当事者に対する責任もあるので、建物のことを知らない宅建主任では建物のリフォームの趣旨説明ができない可能性があり、調査建築士(サーベイ・プランナー)に重要事項説明の責任もあると思われる。

そういう点からこの新しい職種である調査建築士(サーベイ・プランナー)は既存建物市場に必要な新しい専門職と考えるのである。

なお、調査建築士(サーベイ・プランナー)はイギリスのサーベイヤー(Surveyor)から筆者が思いついた名称である。

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2011年8月27日 (土)

建築士の知識と不動産取引

日本では、建築士の知識は設計や建設のための知識と考えているためか、せっかくの知識が不動産取引に生かされていない。あるいは、建築士は不動産取引と畑が違うので決してそこに入らないようにしているためかもしれないが、建物を設計したり建設したりする知識が不動産取引にまったく生かされない現状にある。

中古住宅などの不動産取引に関わる宅建主任が行う重要事項説明においては、建物に関する説明は建築の知識が要らない事項ばかりである。それでも取引のトラブルが多いようであるので、とても建築知識を活用して建物のトラブルを防ぐという余裕は無いのであろう。もし、中古住宅など建物が関わる取引に建築士が関わっていれば、建物に何が起こっているかわかる場合もあると思われる。しかし、現行制度では建築士が不動産取引に関わる必要があるとは考えていないようである。

現在の制度はあたかも設計建設と取引とは建物を作る側と売る側で、まったく関係なくてもなんら問題無いと考えているようなのである。しかし、既存建物が流通する市場の重要性が強まっている昨今では、建築士の知識は不動産取引に必要不可欠と考える。

たとえば、直前のエントリーで住宅瑕疵担保責任保険法人の業務では保険引き受けに際して建物を調査するが、これは建築士が担当するようである。保険の新設を含め、建築士の知識を活用して、不動産取引におけるトラブル防止を図ることは大変良いことと思われ、今後が期待されるところである。

また、不動産金融商品のREIT組成にあたっては建物調査が必須とされ、その結果をまとめたエンジニアリングレポートにもとづいていなければ、REITの商品価値は責任のもてないものになると思われる。これはBELCA(公益社団法人ロングライフビル推進協会)がビルの建築仕上げや設備などの診断技術者を登録し、彼らにビルの調査を任せるのであるが、建築士の知識を活用する重要な例である。

また、住宅ローンを担保にした社債など新たな不動産金融商品が発行されるようになれば、ますます建築士の知識が不動産取引に必要になると思われる。ローンを引き受ける価値があるかどうか、建築士の知識でチェックしておくことで、景気が悪くなっても、瑕疵が発見されても、住宅の価値が担保価値を下回らないことを確認しておく必要がある。

不動産が相対取引だけで取引される時代ではなくなり、金融商品化され、誰でも買える金融商品になると、当然商品の信頼性が高くないといけない。たとえ、瑕疵が発見されても瑕疵担保保険で瑕疵をなくすることができれば、その商品の信頼性は失われないと思われる。今後、不動産金融商品の拡大にあわせて建築士の知識が不動産取引に活用されることと期待したい。

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公公益社団法人 ロングライフビル推進協会
益公益社団法人 ロングライフビル推進協会
社団法人 ロングライフビル推進協会

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